【症例報告】ウサギの関節融解を伴う化膿性炎症

この症例に関してはまだ何も解明されてはいません。
それはおろか、存在すら正式に認められていないと思います。
ただ一つ言える事として進行が早いので早急な対応が必要と言う事です。

はじめは右手を浮かせているとのことで来院。右手首に熱感を感じ、腫れも確認。
消炎鎮痛剤を投与するも次の日より、右腕全体がたるんでいることに気づく。
そしてレントゲンがこちら。
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この後の抗生剤治療に少し反応するも反応は乏しく、2週間後のレントゲンが以下。
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画面下側は反対の手首。比べると関節に白いもやがかかったように見え、
炎症を起こしている事が分かると思います。

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右手首の関節に骨膜反応が見られます。
針吸引検査で化膿性炎症、細菌培養検査で細菌は検出されず。
結果的に時間の経過とともに、関節の骨の融解も進み脱臼してしまいました。

この経過に似た症例を過去に見た事があり、
病理医と相談する中で「ボトリオマイコージス症」の可能性を探りはじめました。
もしそれであれば、細菌はごく一部に限局されており、培養や病理検査で見られない事もしばしば。
しかし炎症は強く起こすこともある。また細菌を放置すれば骨髄等に進入し全身に感染する事も。

本症例の場合、調子悪いのは手だけでしたので、飼い主様と相談の元
断脚手術を行なう事で、全身への進行を止める選択をしました。

再度摘出した検体より、関節の炎症部位にごく一部に細菌を確認。
うさぎではまだ正式に報告のない「ボトリオマイコージス症」を示唆する結果となりました。

症例はその後順調に回復し、元気食欲旺盛。
前足が1本になりましたが大きな不自由なく暮らしています。