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カテゴリー別アーカイブ: 症例報告

【症例報告】ハリネズミの避妊手術

2016-07-26

前回のウサギの避妊手術に続き、今度はハリネズミのお話を・・・

最近ハリネズミを診察でたくさん見かけるようになりました。
よく調べてらっしゃる飼い主様はご存知かもしれませんが、ハリネズミにも多い病気があります。
1つは「疥癬症」、そしてもう1つが女の子の子宮疾患です!!

なんなのでしょう。
よくわかりませんが、ウサギ、モルモット、ハリネズミは女の子に子宮疾患が効率に発生します。

では病気について。
今回の子の主訴は血尿でした。そして血尿だけです。元気食欲その他問題ありません。
尿に血が混じる程度では膀胱炎も可能性ありますが鮮血が多めに出ていたら、子宮疾患を疑った方が良いと思います。

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触診では何も触れず、レントゲンを撮りましたが明らかな異常は見つからず。
薬で経過をみますが治療への反応はよくありません。

年齢は2歳前。飼い主様とお話しして、子宮疾患の可能性が高いので試験開腹を含め手術のお話をします。
仮に子宮が問題無くとも、将来的な予防になるので無駄にはなりません。
また、確定できないから様子をみる事で進行してしまい、麻酔が難しく手術できない場合もあります。

ウサギさんとの手術前の違いは、血液検査ができない事(状態によっては行なう)、マスク麻酔になることくらいで
あとは手術前の処置からすべて同じです。

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この子も無事に終了。麻酔からもすぐ覚めました。そして食欲旺盛でした^^
傷の写真を撮ろうとしたら、すぐに起きて撮れませんでした^^;

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明らかにおかしい子宮・・・
透明なのは膀胱です。
子宮の一部がプリッと出ています。

RIMG0414

病理検査の結果、悪性の平滑筋肉腫でした・・・
もう少し遅かったら腹膜播種していたかもしれません。

ウサギさんと同じく1泊入院です。
現在、予防的な手術は行なっておりませんが今後はそれも検討していきたいと考えています。

小動物の血尿はすぐ病院へ!! 続きを読む

【症例報告】うさぎの避妊手術

2016-07-01

今回はウサギの避妊手術に関して。

Q.なぜ必要なのか?
   ⇒女の子の場合、子宮疾患の発生率がかなり高いためです。
    多くの場合、血尿といった症状で発見されます。
    しかし膀胱炎であることは稀で、子宮内膜に何らかの変化が起きている事がほとんどです。
    そして、子宮に問題を抱えている個体の約30〜50%で子宮腺癌という悪性腫瘍が見つかります。
    最悪の場合、肺転移、腹膜播種が起こる事もありそうなれば治療はありません。
    また出血が多い場合は貧血が進行し、手術自体も難しくなることがあります。
    ただし、これらの病気は避妊手術を行なう事で防げます。生後半年〜1歳までに行なう事が理想的です。

子宮内膜症
(ぱっと見はきれいだが、子宮内膜が肥厚し、外観も分厚くなっている)

Q.アシル動物病院ではウサギの手術はできますか?
   ⇒眼・骨折・神経の手術(特別な機械が必要)以外は、
    ウサギでも他の動物と変わらない内容の手術ができます。

Q.ウサギの麻酔が怖いと聞くのですが?
   ⇒確かに犬猫よりも麻酔による事故率が高いデータはあります。
    しかし、それにもウサギ特有の事情があります。詳しくは診察の際にお話しします。
    間違いないのは、事故発生率よりも子宮疾患発生率の方がはるかに高いということです・・・

子宮腺癌
(子宮腺癌;先程の写真と違い外観がぼこぼこしているのが分かると思います、上部分は卵巣と卵管)

Q.避妊手術の流れを教えて下さい
   ⇒朝来院してもらい、血液検査を行ないます。
    その後、小動物手術特有の前処置を行ないます。そして昼休みの時間に手術を行ないます。
    手術は約30分程ですが、すでに子宮に異常がある場合はこの限りではありません。

Q.費用はどれくらいですか?
   ⇒お電話下さい。
    犬猫と同様な麻酔モニタリング、気管挿管(状況によりマスクでの麻酔もあり)、静脈確保等を行ないます。
    すでに出血がある場合は、通常の避妊手術とは異なりますので料金も上がります。
    通常でしたら1泊です。

うさぎ気管内挿管
(麻酔時の気管内挿管をしている様子)

Q.いつできますか?
   ⇒お電話で予約をお願いします。
    手術は完全予約制です。初診の方は診察が必要です。
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皮膚病という概念

2016-03-07

昨日、皮膚病のセミナーに行って参りました。
当院のブログで過去にも述べたように、皮膚病治療は特に変化が目覚ましい分野かと思います。
5年前は正しい事が、現在は覆されたり・・・
もちろん基本指針は変わりありません^^

主にアレルギーの話であり、基本的には今まで当院でお伝えしてきた事と変わりありませんが
間違ってお伝えしていた事があるのも事実です。

私個人としても、大きく宣伝はしていませんが皮膚科診療には力を入れています。
当院の皮膚科診療指針は以下の通りです。

①動物を痒みストレスから開放する事をまず第一に考える
②いい状態をなるべく維持する事
③原因の追及と原因の除去を考える

③において、アレルギー検査をやや否定的に捉えていた私ですが、今回やや考えが変わりました。
と言っても、100%の信頼を置いているわけではありませんが・・・^^;
しかし診断の一助にはなるであろうという認識が持てました。

また治療においても外用剤が見直されているという事実。考えさせられました。

さらに、皮膚病というだけで100%治しきらないとダメだと思う固定概念をなくしなさいという言葉。

今までの当院の診療において、否定的なものを肯定させられる内容でした。
こういう時に大きく成長できる気がしています。

いいと思ったものは積極的に取り入れています。
皮膚病でお悩みの方、お気軽にアシル動物病院までご相談下さい。
飼い主様と獣医で一緒に考え、動物を痒みストレスから解放してあげましょう! 続きを読む

【症例報告】腸閉塞

2015-04-14

腸閉塞
;異物による完全閉塞

腸閉塞

症状
・嘔吐、食欲不振、元気低下
  (完全閉塞の場合の嘔吐は経験上、便のような色をしていることが多い気がします)

検査
・レントゲン造影検査または超音波検査

注意
・完全閉塞でなければ、症状が軽い嘔吐だけと言う事もあります。一般的に閉塞部位が胃の方へ近ければ嘔
吐が目立ちますが、胃から離れてると嘔吐が目立たない事もあります。
・また完全閉塞では時間の経過により腸の血流が悪化し、腸の壊死も起こりうるため的確な処置が必要です。
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【症例報告】ショック状態とは?

2015-04-02

ショックと言えばどういう状態を思い浮かべますか?

たまたまショックの患者さんを診察した時に、どれくらいの方が本当の意味をご存知かと思い今回はそのお話をさせて頂きます。もちろん、私も獣医学を習うまでは知りませんでした。
我々獣医師がこの言葉を発した場合、飼い主様と我々での認識に差があるととても危険と思い、文章ばかりにはなりますが報告させて頂きます。

一般的に思い浮かべるショックは「精神的なもの」ではないでしょうか。
しかし病態のショックは、精神的にもダメージは受けるでしょうが、それ以上に体が重いダメージを受け命の危機にある事を指します。
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【症例報告】ウサギの関節融解を伴う化膿性炎症

2015-03-06

この症例に関してはまだ何も解明されてはいません。
それはおろか、存在すら正式に認められていないと思います。
ただ一つ言える事として進行が早いので早急な対応が必要と言う事です。

はじめは右手を浮かせているとのことで来院。右手首に熱感を感じ、腫れも確認。
消炎鎮痛剤を投与するも次の日より、右腕全体がたるんでいることに気づく。
そしてレントゲンがこちら。
yおし1
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【症例報告】ブルドックの帝王切開

2014-07-15

ブルドックなどの短頭種では、自力分娩できる確率が30%程度と低いため
あらかじめ計画して帝王切開を行います。

ただし短頭種での帝王切開は、飼い主様に酷ともいえるお願いをして行う事になります。
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